海炭市叙景1話『まだ若い廃墟』
海に囲まれた寂れいく炭鉱街。
父は事故で亡くなり、母は家を出て行った。
幼い妹を抱えて兄は学校を辞めて見習い炭鉱夫として生計を助けたが、その炭鉱も閉山になることが決まった。
先行き不安の兄妹のもとにも等しく元旦が訪れる。
家族を抱え、これから先のことも考えて、仕事の悩みを引きずって、毎日の生活に追い掛け回される中で、俺だってもう疲れた、もういいじゃないか、ちょっと休んだっていいじゃんかよって思う気持ちが自分にはある。
魔が差すじゃないけど、時折無性につらくなる時があるのだ。
死んでしまうほどのことじゃない、放り出すほどの努力もまだしていない。
それはわかっているけど、そういうことじゃない。
ただちょっと一息つきたかっただけだ。
兄は死ぬつもりだったのかといえば、そんなこともなかったんじゃないか。
ただすごく休憩したくなったんじゃないのか。
妹は薄々わかっていたんだろうか?
疲れて押しつぶされそうな兄を見て、でも発着場で待ち続けていたのはどっちでもあると思っていたからじゃないのか。
「やぁ、ひどい雪で迷ってしまった!死ぬかと思ったよ」と笑って帰ってきてもおかしくないし、あるいは死んでしまっていても仕方なかった。
町は遠くない将来にきっと廃墟になる。
人が住んでいてももうどこかが廃墟になっている町。
同時に自分たち自身が廃墟なのだと感じた時の空虚さは苦しい。
漫画、小説、アニメ、映画などの感想を書き留めていく
最近文章能力の低下が著しく、これはいかんということで、好きなものの感想くらい書き留めていくようにしようと思う。
どうでもいい感想の垂れ流しになるとは思うが、まぁゆるゆると続けてみよう。